友人に家の合鍵を渡しギターを持ってきてもらった。転院する前の話である。
「リハビリには是非とも必要だ。」と言うと割と簡単に持ち込みを許可してくれた。
 但し、病室では弾かない事が条件だ。食事時間以外に空いてる食堂でなら許可します。という条件付きである。
 今のリハビリ病棟でもそのような条件付きではあるが持ち込みの許可が出た。
 他の入院患者の事を考えると条件付きは当然の事であり、部屋でも弾きたいのなら個室へどうぞ、という事だった...まあ当たり前であろう。
 弾いてみて驚いた 。まるで弾けない。いや弾ける弾けないを云々するレベルではない。ピックすら持てないのである。唖然呆然である。どうしよう?
 しばらく触ってなかったためか弦は結構錆びている。これは交換するしかないだろう。
交換作業に取り掛かってまたもや唖然呆然である。片手で弦交換...無謀だ、無謀すぎる。弦交換に1時間半もかかってしまった。
 それ以来わたしは錆びに強いコーティング弦を愛用している。と言うかそれしか使ってない。
 そしてチューニング。またもや唖然呆然...頭の中で何匹ものセミが鳴いていてこいつらが物の見事にチューニングの邪魔をしてくれる。
 どうにもチューニングができないのである。機械に頼らないとチューニング一つできないカラダになってしまった。まさしく唖然呆然←しつこいっ!
 上等じゃねーかコラッ!ここから這い上がってやるぞっ!その方がドラマチックでいいだろうよ!
 訳も分からず大変無謀な事を心に誓ったのであった...。
 今に見てろよーーーーー! 

 そんなある日先輩が見舞いに来てくれるというのでDVDをリクエストした。
 Deep Purple   Live in concert 72/73 
                           California JAM 1974
  Whitesnake   In the still of the night の3枚。
 古いと思うか懐かしいと思うか、人それぞれだろうけど 筆者にとっては間違いなく懐かしい。
 初心者だった頃(中学生だったな)必死でコピーした曲がいくつも収録されている。
 あの頃は何も弾けないなりに楽しかったな。
 まだカラオケもない時代、自宅にあったヴォーカルアンプにギターをつなぎレベルオーヴァーで壊れる寸前の汚い音で「これがロックだぜ!」とか言って技術もへったくれもない演奏をして陶酔していた...誰か止めてやればよかったのに誰も止める人間がいなかった。
 おかげで稚拙な演奏のまま大人になり、極度に低い精神年齢のまま中年になり、度を越した飲酒量に後押しされる形で脳卒中になり、気が付いたらこんな初老を迎えてしまった。
 それに比べるとWhitesnakeは最近だ(90年代だけど)。 これも大半の曲は昔コピーしたし自分のバンドでも演奏した。中学時代よりいくらかは上手くなっていたがまだまだ下手くそである。
 それにしてもその時のバンド名がBlacksnake...もう少しひねれよ!

 ノートパソコンで鑑賞した。仕事のリハビリに必要で持ち込んでいたのだ。観る前はいろいろ思い出して涙腺が崩壊するかな?と思っていたが以外と冷静に見れてしまった。
 コピーできてたつもりだったけどよく見りゃ違うじゃん。とか、どいつもこいつもレコード通りにゃ弾かねーな。とか、割と分析的に観てしまったのであった。
 DVDを持ってきてくれたこの先輩、パソコン、ギター、練習用アンプ、サムピック...いろんなものをもってきてくれた。
 倒れる前は良く遊びに来てくれていたのでわたしの家のどこに何があるか把握している。
 それを良い事に持ってきて欲しいものがあると合鍵を渡してはお願いしてた。
 長い入院生活が苦になるどころか以外にもメチャ楽しかったのは先輩のおかげである。
 おまけに若くて可愛いスタッフが多かったし...それかいっ!