何はともあれ自動車が手に入った。これからは公共の交通機関に時間を拘束されることもなく自分のタイミングで動けるようになる。
 田舎の交通機関は何しろ本数が少ない。30分に一本などというレベルではない。
一本逃すと次は2〜3時間後 とかいう世界だ。終電が18時30分!とかいうレベルだ。自動車がないとそれはもう不便なのだ。
 
 喜んでいた。どう考えたって嬉しいに決まってる。半年前には
一生寝たきり の宣告を受けたばかりなのだ。
 
俺に限ってそんなはずはない!と勘違いし、事の重大さとは裏腹に極めて能天気にリハビリしてきたのが良かったのだろう←やっぱり勘違いのような気がする。

 とりあえず家の周りの空き地で練習だ。喜び勇んで自動車に乗ってみると???なんか変だ。そりゃそうだろう、右足には麻痺が残っており目で見ないと右足がどこにあるかわからない のだから。
 まず右足の位置を
目で見て確認してから前を向いてアクセルを踏む。幸いにもアクセルを踏んでいる感覚は多少ではあるがわかったのでそのわずかな感覚と実際に車が走るスピードを目安にスピードをコントロールする事ができた。しかし補装具で足首は固定されていたので主に 膝の屈伸を使いスピード調整を行っていた。
 次にブレーキであるがこいつには苦労させられた。アクセルを離してブレーキを踏もうとすると感覚の鈍ったわたしの右足では中々
ブレーキが見つけられないのである。目で見るわけにはいかないし...
ブレーキが遅れて
壁にぶつけてしまった事もある。これじゃ駄目じゃん!なんで更新できたかなぁ?
 結局作業療法士とも相談してブレーキは
左足 で踏んでみては?という事になった。早速練習である...左足ブレーキに慣れていないせいか最初は散々であった。どうやったって急ブレーキになる...カックンブレーキというやつだ。しかし止まれない事を思うとこっちの方が全然いい。車は速く走る事 より確実に止まる事の方が重要であるなんて言葉をよく耳にするがまったくその通りだと思った。ブレーキを踏んだつもりでも一向に止まらなかったりするとムッチャ怖いぞ!
 その頃から少しづつ公道に出るようにした。停車するたびにカックンカックンさせながら…今思うとずいぶんかっこ悪いが、そんな事思いもしなかった。必死だったもの。
 左足には麻痺がないだけに
慣れるのは早かった。あれ?いつの間に慣れたんだっけ?と思うくらい気がついたら普通にコントロールできていた。そしてその頃から徐々に公道範囲を広げていった。
 
 車の運転なんていう
普通の事が普通にできる事がどれだけ嬉しかったか。
 実は
普通である事ってすごい事なんじゃないのか?
 これからは何事にも
感謝の気持ちを忘れずに生きていこう。

 その時は確かにそんな風に思ったのだが...そんな事
すっかり忘れてしまったわたしはすっかり楽な方に流されるようになりものすごい勢いでリバウンド していくのだった...